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ズバリ聞きます!避難所環境の改善

答える人=党復興・防災部会長(衆院議員) 中川宏昌さん

2024/12/01 公明新聞3面

2024年11月30日

大規模災害時、被災者の命と健康を守る上で重要になるのが避難所の生活環境です。能登半島地震の教訓を踏まえ、先月決定した総合経済対策に、その環境改善に向けた対策が盛り込まれました。公明党が推進した対策のポイントなどを、党復興・防災部会の中川宏昌部会長(衆院議員)に聞きました。


■Q 何が問題?
■A トイレ少なく不衛生に/温かい食事提供も困難

 アスカ 避難所環境の何が問題ですか?

 中川 これまで大規模災害が発生するたびに避難所環境の劣悪さが問題視されてきました。特に大きな課題が、安全・安心な避難所運営で欠かせないTKB(トイレ、キッチン、ベッド)の不足です。

 トイレは数が少なく不衛生になりがちで、水や食事を控え、体調を崩す人もいます。食事は温かいものの提供が困難で、寝る場所は床の上だったりパイプ椅子を並べて作ったりするケースが少なくありません。行政も改善へ取り組んできましたが、まだ抜本的改善には至っていないと認識しています。

 アスカ 能登半島地震でも不自由な避難生活を余儀なくされる人が出ました。

 中川 その通りです。私も発災翌日から現地へ入り、救援に全力を挙げてきましたが、苦しまれる被災者の姿に胸が痛みました。とりわけ、半島という地理的制約がある中で道路が寸断され、必要な物資がすぐ届く環境でなかったことが対応を難しくしました。簡易トイレ・ベッドなどの備蓄を日頃から各地で整える重要性も浮き彫りになりました。

■Q 国はどう対応?
■A 備蓄拠点を8カ所に拡大/自治体向けの交付金創設

 アスカ 国の対応は。

 中川 11月22日に閣議決定された政府の総合経済対策で「避難所環境の抜本的改善に取り組む」と明記され、公明党が訴えてきた施策が進みます。

 具体的には快適なトイレ、簡易ベッド、温かい食事を速やかに提供するために必要な資機材の備蓄を推進します。キッチンカーなどのいち早い活用へ事前の登録制度の創設も検討する方針です。

 また、政府の有識者会議が今後の災害対応をまとめた報告書も踏まえ、国のプッシュ型支援を強化します。現在、国の備蓄拠点は東京都の立川広域防災基地の1カ所ですが、これを全国8カ所へ拡大して備蓄する方針です。必要な物資を日頃から備蓄するのが難しい自治体もあるため、備蓄に活用できる国の新たな交付金も創設される予定です。

 アスカ その他には。

 中川 避難所になる全国の学校体育館への空調設備の整備は、酷暑や厳寒から命と健康を守るためにも必要です。公明党がリードし、総合経済対策に「ペースの倍増を目指して計画的に進める」と示されており、さらに整備を加速させます。

■Q 今後の課題は
■A 災害法制への福祉的視点の導入に向け法改正めざす

 アスカ 公明党の取り組みは。

 中川 避難所環境の改善を先の衆院選の重点政策に掲げたほか、国会質疑や政府提言などを通じて、強く訴えてきました。特に「TKB」の配備は、どの党よりも現場に行き、被災者の声を聴いてきた公明党だからこその提言です。

 また、被災者が尊厳ある生活を営むための国際基準「スフィア基準」にも着目。公明党の後押しで国は、同基準を満たすよう自治体に必要な支援を行っていきます。

 アスカ 今後の課題は。

 中川 まずは経済対策の裏付けとなる今年度補正予算案の成立を急ぎます。

 また、災害救助法などの災害法制では、救助の枠組みに福祉的視点が含まれていません。女性の視点を生かした避難所運営を支え、高齢者、障がい者などの災害弱者を守るため、福祉的視点の導入に向けた法改正をめざします。NPOや民間企業なども積極的に参加できる体制構築へ、民間の活動団体の登録制度を検討するなど、さらなる活動環境の整備も進めます。