能登半島地震で水道の施設や管路の損傷が相次ぎ、最大約14万戸で断水するなど甚大な被害が生じた教訓を踏まえ、国土交通省が実施した上下水道施設の耐震化状況に関する緊急点検の結果が1日、公表された。避難所や病院など災害時に拠点となる「重要施設」のうち、施設につながる管路が上下水道とも耐震化されている施設の割合は約15%にとどまり、対策を急ぐ必要性が浮き彫りとなった。
調査は7~10月にかけ、全国5231の上下水道事業者(石川県内6市町を除く)を対象に実施。全国2万4974カ所の重要施設のうち、施設につながる管路が全て耐震化されていたのは3649カ所だった。
重要施設につながる管路の耐震化率は、上水道が約39%で下水道が約51%。また、機能を失うと上下水道システム全体の機能停止につながる「急所施設」では▽河川から水を取り込む取水施設が約46%▽浄水施設が約43%▽浄水施設からの水を貯留する配水池が約67%▽下水処理場が約48%――など、全体的に低い水準にとどまっていた。
国交省は今後、全ての水道事業者や下水道管理者に対して来年1月末までの策定を要請している「上下水道耐震化計画」に基づき、集中的に耐震化を進める方針。斉藤鉄夫国交相(公明党)は1日の記者会見で「地域の取り組みを技術的・財政的に支援しつつ、上下水道の耐震化を計画的・集中的に進め、強靱で持続可能な上下水道システムの構築を図りたい」と述べた。
水道の耐震化について公明党は、来年度予算の概算要求に向けた国交部会の提言で政府に対応を求めているほか、衆院選重点政策にも明記。10月の参院代表質問では、西田実仁幹事長が耐震化について「重大な課題であり、抜本的に強化すべきだ」と訴えていた。
■自治体へのフォロー必要/党北陸信越方面本部長 中川宏昌衆院議員
能登半島地震からの復旧・復興に断水が大きな影響を及ぼした。対策を急がなければならないと改めて痛感している。
政府は水道事業者らに上下水道耐震化計画の策定を要請しているが、計画の実行に当たっては、技術系職員が少ない自治体へのフォローなど政府による支援が欠かせない。また、水道管理における官民連携について一層の推進を図ることも必要だろう。
公明党として、住民の生命と生活基盤に直結する上下水道の耐震化を全力で後押ししていく。