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中川(宏)氏ら、復旧へ要望聴取/石川・輪島市、穴水町

公明新聞 2024/10/01 7面

 能登半島地震の発災からきょうで9カ月。震災の傷が癒えぬ奥能登地域を、9月21日から22日にかけて豪雨が襲い、河川の氾濫や土砂崩れで犠牲者を出し、仮設住宅への浸水など甚大な被害をもたらした。震災に水害が追い打ちをかけた被災地。公明党は住民の安心と希望を取り戻すため、早期の復旧・復興へ総力を挙げる。=能登半島地震取材班


 「ようやく生活が落ち着き出したのに……」。石川県珠洲市上戸町の仮設住宅で一人暮らしの瀬戸靖子さん(84)は、やり場のない気持ちを口にした。床上浸水の被害を受け、水浸しで重くなった床のマットを外しながら「できることをやるしかない」と気丈に振る舞っていた。

 地震からの復興に向かっていた被災地。豪雨被害は人命に及び、消防や自衛隊などによる安否不明者の懸命な捜索も続けられている。

 一部の仮設住宅で床上浸水が発生し、住民は再び避難所生活を強いられた。停電の影響による水道施設の停止や水道管の破損により、約3000戸で断水が続く。輪島市、珠洲市、能登町から給水車の派遣要請があり、各地で給水車が活動中だ。

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 「困ったこと、不安な点があれば何でもお話しください」。9月23、24両日、奥能登を訪れた公明党の中川宏昌衆院議員は、被災者に声を掛けて歩いた。

 記録的な大雨が降り出した9月21日、公明党石川県本部(代表=谷内律夫県議)は、中川氏を総合本部長、谷内県代表を本部長とする災害対策本部を設置。同22日に議員が手分けして輪島市、珠洲市、能登町の被災現場へ。大量の土砂や流木に覆われた道路や家屋、田畑の被害状況を調査した。

 「心が折れた」「浸水した仮設住宅で生活できるのか」。被災地をくまなく回る中、中川氏らに寄せられる声。その一つ一つに丁寧に耳を傾け、被災地への支援策を探った。

■激甚指定など現場の声聴き国へ提案

 現場の痛切な叫びは公明党のネットワークの力ですぐに政府へつなげられた。先月26日、公明党の復興・防災部会(部会長=横山信一参院議員)と能登半島地震復興加速化本部(本部長=大口善徳衆院議員)の合同会議で公明側からは、被害が「地震によるものか、水害によるものか区別できない状況だ」と強調し、地震と水害への一体的な支援を主張。その上で、「激甚災害」への早期指定や予備費の活用などを求めた。

 政府側は、予備費活用を検討するとともに「被害の全容把握に努め、迅速に対応していく」と答えた。

 震災に水害が追い打ちをかけた奥能登地域の復旧・復興へ、石井啓一代表は「一日も早く暮らしの安心と希望を取り戻せるよう、徹して被災者に寄り添い、支援に万全を期す」と固く決意する。

■山の保水能力低下で被害拡大/だいち災害リスク研究所 横山芳春所長

 今回の豪雨災害は、記録的大雨により、川の氾濫や土砂崩れ、土石流が奥能登地域で発生した。輪島市では山から市街地に流れる小さな川が相次いで越水。人的被害をはじめ、住宅の床上浸水につながった。市のハザードマップは市街地を流れる河原田川や鳳至川などの被害想定を記載していたが、山側で越水した箇所の中には詳細な記載がされてなかった地点もあり、想定を超える事態であったことが分かる。ハザードマップに記載されていない地域でも油断はできない。

 地震からの復旧工事が進む中、立て続けに大雨が襲ったことで被害が大きくなった。その要因の一つに、大地震により山間部で土砂崩れや土石流が起きたことで、山の保水能力が低下した可能性が挙げられる。山が水をためられない状態が続くと洪水、土砂災害の危険性は増す。まずは復旧作業の加速が必要だ。

 地震と豪雨という二つの災害から再び復旧・復興に立ち上がるため、大事なことは「復興したい」と願う被災者に寄り添い、復興のビジョンを一緒に考える存在だ。能登半島地震の発災直後から被災地に入り、きめ細かく活動する公明党には、被災者に寄り添った支援の実現に期待したい。

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