暮らし、なりわい再建の先頭に立つ――。公明党の「令和6年能登半島地震災害対策本部」(本部長=大口善徳衆院議員)と石川県本部(代表=谷内律夫県議)は27日、金沢市で各種24団体との政策要望懇談会を開催し、復旧・復興の加速化に向け、精力的に意見交換した。これに先立ち行った第2回党合同対策会議には、来賓として馳浩知事が出席し、党の取り組みに謝意を述べた。
■(暮らし)被災建物の公費解体早く
【公費解体】NPO法人石川県防災士会は、被災した建物の公費解体が思うように進んでいない背景の一つとして、「相続人の一部と同意が取れないなど、対象者の意向を確認しづらくなっている」と指摘。復旧・復興を加速させるため「公費解体を円滑に進めてほしい」と求めた。
新妻秀規参院議員は、派遣職員の増員を念頭に調整支援などを一層後押しする考えを示した。
【浄化槽】県浄化槽協会は、被災した小型の合併浄化槽を産業廃棄物として処分する際、洗浄する必要があり「大変な労力と時間がかかる」と強調。震災の特例として地元の焼却施設で処分できるようにし、効率的に浄化槽の復旧を進めるよう訴えた。
竹谷とし子参院議員は「環境省に適切に対応を取るよう伝えていく」と語った。
【災害ごみ】県産業資源循環協会は、被災自治体で運営している災害ごみの仮置き場について、自治体に費用請求する際、多くの資料を提出する必要があり、経費が支払われるまで時間がかかることを指摘。「手続きを簡素化してほしい」と強調した。
鰐淵洋子衆院議員は「被災地の声をしっかり伝えていく」と応じた。
【登記申請】県土地家屋調査士政治連盟は、公費解体の対象にならない建物を自費で解体した場合、被災者が登記申請する必要があり、負担が大きいことから費用の支援制度創設を要望した。
大口本部長は全壊した建物が多い地域については、国が無料で滅失登記を行う予定であることを紹介。被災者の負担軽減につながる施策を検討する考えを示した。
■(なりわい)補助金申請、サポート人材増員を
【中小企業】県中小企業団体中央会は、甚大な被害を受けた七尾市・和倉温泉の再生に向け、建物周辺の護岸の早期修復へ支援を要請。また、伝統的工芸品の生産再開に最大1000万円を支援する「伝統的工芸品産業支援補助金」の申請の簡便化などを求めた。
赤羽一嘉総合本部長代理(幹事長代行)は「能登の魅力あふれる復興へ全力で支援していく」と述べた。
県商工会連合会は、被災した施設・設備の復旧を後押しする「なりわい補助金」について、手続きに必要な書類が多く、「小規模事業者が自力で申請することは難しい」と指摘。同会が相談対応に奔走している一方で「現場のニーズにマンパワーが追い付いていない」と窮状を訴えた。
その上で、事業者向けの補助金に関し「多くの人が制度を利用できるよう、申請手続きを支援する人材を増やしてほしい」と求めた。
竹内譲衆院議員は、事業者に支援策が漏れなく届くよう「中小企業診断士などサポート人材を拡大したい」と述べた。
【漁業】県漁業協同組合は、水産業の被害状況について「県内に81ある漁港・港湾のうちの72カ所が損壊した」と報告。操業に不可欠な製氷や燃油、荷さばきのための施設が甚大な被害を受けているとし、港など拠点支所の再編整備について特段の配慮を求めた。
横山信一参院議員は、被災した港の復興に向けた「協議会」が設置されたことに触れ、「復旧への取り組みを全力で応援する」と答えた。
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27日の第2回党合同対策会議、団体政策要望懇談会に出席した国会議員は次の通り。
赤羽一嘉、大口善徳、上田勇、中川宏昌、新妻秀規、竹内譲、横山信一、中川康洋、鰐淵洋子、福重隆浩、庄子賢一、宮崎勝、三浦信祐、竹内真二、塩田博昭、佐藤英道、竹谷とし子、高橋光男。
■課題深掘りし支援策強化/党対策本部・赤羽一嘉総合本部長代理(党幹事長代行)
政策懇談会は、党として一層、被災者に寄り添う支援策を強化するため、現状の課題を深掘りするのが目的だ。
われわれは徹して被災地に分け入り、窮状の打開策を練り上げてきたが、全てを捉え切れているとは限らない。そこで、復旧事業を担ったり、被災者支援に携わる各種団体だからこそ見えてきた問題点を伺い、被災者一人一人の生活・なりわいの再建と、地域の復興を一体的に進める支援策を検討し、復旧・復興の加速化につなげたい。
■直接要望の場、心強い/石川県浄化槽協会・浦部隆博会長
能登半島地震を巡る課題は多岐にわたり、国や県、市町の対応や認識はさまざまです。国会議員と地方議員にそろって話を聞いてもらうことは、一本筋が通った施策の立案が期待できて心強い。
公明党には、こうした場を設けていただいたことに感謝いたします。
■復旧・復興の完遂へ結束/金沢市で党合同会議
合同会議には、被災地担当国会議員と県本部の所属議員が集い合った。
赤羽総合本部長代理は、復旧・復興を着実に進める上で「今のルールが壁となるなら、被災者を助けるために新しい知恵を出し、ルールを作っていくのが公明党の使命と責任だ」と強調。自治体と連携を密にし「復興を完遂させることを約束し合いたい」と訴えた。
大口本部長は「地方議員が日頃から最前線を駆けて得る情報が生命線だ」と力説。今後は復興を進める前提となる公費解体などが本格化するとし、「一段と被災者の声に耳を傾け、誰一人取り残さない復興へ一丸となって進んでいこう」と呼び掛けた。また、谷内県代表は、国会議員と地元議員とのオンライン会議などで課題を共有して、窮状を一つ一つ打開してきたとし「公明党が先頭を切って闘っていく」と述べた。
会合では、田端雄市・能登町議が活動報告し、制度のはざまで苦しむ被災者に寄り添い、解決に向けて奮闘する模様を紹介。「被災者と行政の間に立ち、安心につながる活動をしていく」と決意を語った。
■新交付金創設「公明のおかげ」/馳・石川県知事
被災者の生活再建に向けた新たな交付金制度の創設は、公明党のおかげであり、感謝したい。また災害救助法に、福祉サービスの位置付けを明記する法改正については、公明党が累次にわたって国会で質問され、方向性が固まってきたようだ。ぜひお願いしたい。
多くの国会議員が来県しての政策懇談会の開催も感謝している。今後も、能登半島の復旧・復興、県政の発展に協力をいただきたい。