衆院は16日、能登半島地震の被災者を税制面で支援する関連法案を財務金融、総務の両委員会でそれぞれ全会一致で可決した。住宅や家財などが被害を受けた場合の所得税と個人住民税の減免措置について、16日から確定申告が始まった2023年分所得から適用できる特例を設ける。
能登半島地震は1月1日に発生したため、本来は24年の所得に適用されるのを1年前倒しする。対象は住宅や家財の損害に応じて税負担を軽くする「雑損控除」や、雑損控除を受けない人の災害減免法に基づく減免措置。個人事業主の事業用資産で生じた損失の経費算入にも適用する。
財金委の採決に先立つ質疑で公明党の中川宏昌氏は、税減免の特例について、高齢化率が高い被災地の特性を踏まえ、手続きに不安を抱える被災者に「寄り添った対応を」と訴えた。
国税庁は、既に石川、富山両県で国税の申告・納付期限を延長しているほか、税務署での相談体制も整備しているとして「状況が落ち着き次第、まずは相談いただきたい」と答弁。雑損控除か災害減免法どちらかの適用を選ぶことに関しては「損失額を確定申告書等作成コーナーに入力することで、いずれが有利となるか自動で判定可能となっている」と説明した。
■罹災証明の交付早く
一方、総務委で中川康洋氏は、税減免を受けるには「各自治体による罹災証明書の交付が前提となる」と指摘。交付の状況について「自治体別で差がある」として、迅速かつ円滑な交付に向け、国や県の職員派遣といった自治体支援を手厚くするよう求めた。