政府は11日の持ち回り閣議で、能登半島地震を激甚災害と特定非常災害に指定した。岸田文雄首相は首相官邸で開いた非常災害対策本部の会合で「暮らしの再建に向けて被災自治体を支援していく」と強調。同日夜には臨時で記者会見し、災害関連死を防ぐため、高齢者や持病がある人らに旅館やホテルなど「みなし避難所」への2次避難を呼び掛けた。
激甚災害は地域を限定しない「本激」とし、道路や港湾、学校、児童・老人福祉施設、農地といった広範な復旧事業を対象に国の補助率を引き上げる。中小企業への信用保証を強化し、漁業も支援する。特定非常災害は、運転免許証の有効期限延長や債務超過による破産手続きの延期など、行政上の特例が被災者に適用される。
また能登半島地震で石川県は11日午後、連絡の取れない安否不明者が37人になったと発表した。死者は災害関連死を含め、213人。警察や消防などが不明者の捜索を続けている。県によると、11日午後2時時点で安否が分からないのは、輪島市33人、珠洲市3人、七尾市1人。死者は珠洲市98人、輪島市83人、穴水町20人、七尾市5人、能登町4人など。このうち災害関連死は珠洲市6人、能登町2人の計8人。
■(内灘、津幡町)液状化や崩落、広範囲で被害
公明党「令和6年能登半島地震災害対策本部」の中川宏昌本部長代理(衆院議員)は11日、能登半島地震で被災した石川県の内灘町と津幡町を訪れ、現地を調査し被災者を見舞った。公明党の小松実県議と土屋克之・内灘町議、道下政博・津幡町議が同行した。
内灘町は、地震により町内全域で液状化現象とみられる地面の陥没や隆起が発生。11日現在、河北潟に近い6地域で多数の世帯が被害に遭い避難を余儀なくされている。このうち、町北部の3地域(合計743世帯)では、ほとんどの住民が避難している。
一行は、同町北部の西荒屋地域で、被災した横井定光さんから状況を聴いた。横井さんは液状化により家が大きく傾いたことで、現在は、かほく市に避難。自宅の様子を「日に日に傾きが激しくなっている」と説明し、「もうここに住むことはできない」と嘆いた。中川氏は「町が復旧し復興するまで力を尽くす」と語った。
続いて一行は、津幡町で矢田富郎町長らと共に、緑が丘地域で発生した町道崩落の現場を調査した。宅地造成で作られた町道が地震によって崩れ落ち、町道に面した住宅など付近の17世帯に避難指示が出されている。案内した鈴木淳・緑が丘区長は「住民の中には精神的不調に陥った人もいる。心のケアにも力を入れてほしい」と訴えた。
視察後、中川氏は「石川県内の広範囲で多岐にわたる被害が出ている。きめ細かく現場を回り、被災者のニーズに沿った支援を推し進めていかなければならない」と述べた。
■(七尾市)罹災証明書の発行急いで
石川県七尾市で公明党の江曽ゆかり市議は10日、市内中心部の親戚宅に一家6人で身を寄せ、避難生活を送る藤田恵美子さんを見舞い、要望を聴いた。
市北部にある藤田さんの自宅は地震で損壊。行政から生活再建に向けた支援を受けるために必要な「罹災証明書」を申請したが、被災者が窓口に殺到し、発行に時間がかかっており、「いつまでも親戚の世話になれない。早く発行できないか」と訴えた。江曽市議は「一日も早く日常生活を取り戻せるよう全力を尽くす」と応じた。