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再建へ長期的支援が必要

被災者、事業者から要望聴く

公明新聞 2024/02/05 1面

能登半島地震で甚大な被害を受けた被災地の生活・なりわい再建に向けた課題を探るため、公明党「令和6年能登半島地震災害対策本部」は3、4の両日、石川、富山、福井各県の被災現場を訪れ、状況を調査するとともに、観光や漁業、伝統的工芸品産業の再建に向けた支援などを巡り被災者や地元事業者らから窮状を聴いた。

■旅館、漁港、深刻な打撃/石川・七尾市で赤羽氏ら

 党対策本部の赤羽一嘉総合本部長代理(幹事長代行)と中川宏昌本部長代理(衆院議員)は3日、全国有数の温泉地である石川県七尾市の和倉温泉を調査した。小松実県議、坂秀明・金沢市議、江曽ゆかり・七尾市議が同行した。

 22の旅館やホテルが立ち並ぶ和倉温泉では断水が続くなど、全旅館が休業を余儀なくされている。和倉温泉観光協会の担当者によると、和倉温泉は1~2月で約7万7000人のキャンセルが発生。損失額は20億円以上にも上るという。

 一行は、震度6強の地震で建物に亀裂が生じるなどの被害を受けた旅館を視察。各旅館の復旧見通しについて、石川県旅館ホテル生活衛生同業組合の多田計介理事長と和倉温泉旅館協同組合の谷崎裕理事長らは「営業の全面再開には、1~2年以上かかるのではないか」と説明した。

■雇用維持へ国の助成拡充を

 その後の意見交換会で、谷崎理事長らは、和倉温泉における上下水道の早期復旧を強く要請。今回の地震を受け、政府が実施している雇用調整助成金の特例措置について、観光産業の人材流出を防ぐため、助成率の最大10割への引き上げなど万全の財政支援を求めた。

 赤羽氏は、和倉温泉街の営業再開までの間、奥能登復旧の支援拠点にすることなどを含めて「できることは何でもやる。いろんな知恵を出して、未曽有の状況を乗り越えたい」と力強く語った。

 一方、岸壁や漁船が損傷するなどの被害を被った石崎漁港では、県漁業協同組合から現状を聴取した。組合側は、海底が隆起しており調査が済むまで最盛期を迎えたナマコ漁に出られないと説明。「このままでは先が見えずに辞める人も出てくる。漁師が安心できるよう中長期的な支援をしてほしい」と窮状を強く訴えた。赤羽氏は、中長期的な支援を政府に求めていく考えを示した。

 これに先立ち、一行は茶谷義隆市長と懇談。茶谷市長は、市内の断水状況について「1月末で約33%は通水した。2月末までに8~9割の復旧をめざす」と語った。

■伝統工芸産業支えて/石川・輪島市で塩田氏ら

 党対策本部の塩田博昭事務局長(参院議員)は4日、石川県輪島市を訪れ、深刻な打撃を受けた日本の重要無形文化財「輪島塗」など伝統的工芸品の事業再開に向けた課題を巡り、蒔絵師の高木雅啓さんから話を聴いた。小松実県議が同行した。

 一行は、同市で被災した高木さんの自宅兼工房へ。発災以降、市立河井小学校で避難生活を続ける高木さんは、なりわい再建には時間がかかるとした上で、「資金面での応援があればありがたい」と強く要望。また、地震以前から、伝統的工芸品産業界全体として、職人の高齢化や後継者不足など、先行きに不安を抱えている現状にも触れ、「このまま廃業する職人もいるのではないか」と胸の内を語った。

 塩田氏は「伝統産業を守るため、しっかりと後押ししたい」と決意を示した。

■液状化、住まいに被害/福井、富山で中川(宏)氏ら

 中川本部長代理は4日、元日の地震で福井県内最大の震度5強を観測したあわら市を訪れ、被害状況を調査した。西本恵一県代表(県議)、平野時夫市議が同行した。

 同市では、液状化などによる地盤沈下で「半壊」以上の住宅被害が9件(2日現在)確認されている。一行は北潟地区に入り、家が傾くなどの被害を受けた高橋主税さん(69)を見舞うとともに、状況を聴取。高橋さんは「取り壊しを決めた。増築していた家の方も傾斜で水道が使えないため、近くの息子の家に避難している」と話した。

 これに先立ち一行は、滝地区でも住民を見舞いながら、状況を聴いた。

 調査後、中川氏らは「現場の声を生かし、全力で支援する」と語った。

■カニ漁の再開へ護岸など復旧早く

 その後、中川氏は、富山市と富山県射水市を訪れ、液状化などの被害状況を調査した。佐藤則寿県代表(県議)、松尾茂、柏佳枝の両富山市議、不後昇・射水市議が同行した。

 射水市の新湊漁港は護岸の液状化に加え、海底の地滑りによって設置していたカニ籠を見失い、カニ漁を操業できない日が続く。新湊漁業協同組合の塩谷俊之組合長が「早期復旧へ準備を進めている」と語った。中川氏は「再建に向けて尽力する」と応じた。

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